【3Dプリンター復活劇・後編】Gコード解読で見つけたチャンバーファンの秘密と、Cura「仮想プリンター」構築術!
【3Dプリンター復活劇・後編】Gコード解読で見つけたチャンバーファンの秘密と、Cura「仮想プリンター」構築術!
みなさん、こんにちは! 前回の記事では、数年ぶりに3Dプリンターたち(QIDI X-Max&X-Pro)をフルメンテナンスし、最新スライサー「Cura 5.13」環境を構築して液晶サムネイル表示まで成功させたお話をしました。
今回はその続きとして、さらにマニアックで面白い発見についてお届けします。機械のポテンシャルを100%引き出すための「Gコードハッキング」と、ちょっとした発想の転換で不便さを乗り越えたお話です!
1. 謎のGコード「T-2」の正体はチャンバーファンだった!
最新のCura環境になったものの、純正スライサー(QIDI Print)時代からずっと気になっていたことがありました。それは「X-Maxの立派な密閉チャンバーについている庫内循環ファンが、どうもうまく制御されていない気がする」ということです。
そこで、出力されたGコードの中身をじっくり読み解いてみることにしました。すると、M106 T-2 S255という見慣れないコマンドを発見。テスト送信して検証を重ねた結果、この T-2 こそがチャンバー(庫内)循環ファンを指定するインデックス番号 であることを完全に解き明かしました!
2. ABS印刷の極意「チャンバーファン10%の微風」
ファンを自由に制御できるようになったことで、素材に合わせた完璧な温度管理が可能になりました。
PLAやTPUの場合: 熱暴走やフィラメントの詰まり(座屈)を防ぐため、
M106 T-2 S255でファンを100%(全開)にして全力で排熱・冷却するのが正解です。この設定にしたことで、難敵のTPUがかつてないほど綺麗に出力できました!
ABSの場合: ABSは急激に冷やすと反ったり割れたりするためファンはOFFにするのが定石ですが、あえて
M106 T-2 S25と指定して「10%程度の微風」で回す という仮説を立てました。庫内を密閉したまま微風で空気を攪拌することで、熱い空気の吹き溜まりや上下の極端な温度差を抑え、庫内全体を均一なサウナ状態(サーマル・ホモジナイゼーション)に保つことができます。これにより、ABSの変形を強力に抑え込めるという面白い気付きを得ました。
3. Curaの弱点を逆手に取る「仮想プリンター分割」の裏技
ここで一つ壁にぶつかります。Curaには「フィラメント(素材)ごとに開始Gコードを切り替える」という機能が標準では用意されていません。PLAの時は100%、ABSの時は10%と、素材を変えるたびに手動でGコードを書き換えるのは面倒だし、ミスの原因になります。
どう自動化するか悩んだ末、あることに気が付きました。
「そもそもX-Maxは、PLA/TPUの時はノーマルのエクストルーダーを使い、ABSなどのエンプラを刷る時は高温用(オールメタル)のエクストルーダーに物理的に載せ替える仕様じゃないか!」
つまり、ヘッド自体を交換しなければいけないのだから、スライサー上でも「別の機器」として登録してしまえばいいのです。
そこで、Cura上でX-Maxのプリンタープロファイルを複製し、以下の2台の「仮想プリンター」を登録しました。
QIDI X-Max [PLA・TPU用] ➔ 開始Gコードにファン全開をセット
QIDI X-Max [PC等 高温用] ➔ 開始Gコードにファン10%(微風)をセット
*ABSの場合はエクストルーダーはノーマルで設定は [PC等 高温用]にする
*Curaは何も設定しないと0Layerの初めにM107を出力してしまうので、せっかくプリンタ設定でT-2を設定してもファンが止まってしまう。
そこで、最初のレイヤーはファンの設定を1%にする。この設定を素材として保存しておく。
4. まとめ:最強の自家製プリント工場の完成
この設定のおかげで、印刷したい*素材に合わせてCura上で「プリンターを切り替えるだけ」で、完璧なファン制御のGコードが自動で適用されるようになりました。
メーカーのソフト(QIDI Print)では隠されていた庫内ファンの制御を自力でハッキングし、Curaの仕様上の不便さも「ハードウェアの構造(ヘッド交換)」を逆手にとったアイデアで解決。
古い機種であっても、剛性の高い頑丈な筐体に最新のスライサーの頭脳を組み合わせ、自分好みに緻密にチューニングすることで、現行の最新機種にも引けを取らない「最強の自家製プリント工場」に進化させることができました。これからもこの環境で、カメラネジなどの実用部品から趣味のアイテムまで、どんどん作っていきたいと思います!
ABSで花瓶を作成。
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